北の国日記2016(第30話)

7月中旬④

 

オオウバユリが咲き出した。

そろそろ収穫の季節だ。

アイヌの民俗では7月頃収穫、とあるのを見て一度やってみようと思っていた。

車にツルハシを積んで忠類川の上流域に。

 

金山の滝を見たらもうサクラマスは跳んでいなかった。

橋の真下にも魚影は全然見えない。

今年は遡上が少なかったようだ。

 

オオウバユリは本州中部以北の特に日本海側に生育し、北海道は全域にある大形のユリだ。

関東以西に生えるウバユリより大きいのでこの名がある。

 

「ウバ(姥)」という形容はどうも花が派手ではないからのようだ。

北海道ではオオウバユリはどこにでも生えている。

道路脇にもいっぱい生えていて今の時期、道路脇の草刈りが進むとせっかく伸び上がった花茎がばっさり苅られてしまい、とても残念な気がする。

 

さて、ウバユリ掘りだが、アイヌの民俗では、早いところでは5 月から採り始め、7 月が盛期、葉が枯れる前までとのことである。

 

これは、春に芽が出て葉を拡げて光合成をしてどんどんデンプンを球根に貯めて行くのだが、夏になると葉は枯れてしまう(花茎の出た個体は花を咲かせ、実を着けるので枯れない)。

 

だから枯れる直前に球根が一番太っているのだが、葉が枯れてしまうと見つけられなくなるのでそのぎりぎり直前が一番「収量」が多いことになるが、アイヌの人たちはそれよりも前、未だ葉が青々としている時期に掘っていたようだ。

 

球根を敲いて一番粉を採ったあとの「絞りかす」を円盤状の「団子」にして乾燥し、保存食とするのだが、時期が遅いのは繊維が堅くなるので敲いてデンプンを採るにも、この団子にも向かないようだ。

 

 

そこで、私の方は「近代兵器」を使うので時期は気にせずに採集した。

掘り採ってきた球根、葉の部分と根を切り落として計ったら920g あった。

果たしてこれからどれだけのデンプンが取れるだろうか?

 

 

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