2月中旬②
周囲を見渡すと遙か沖合になにやらある。
人のようにも思え、あちらにも釣り人がいるのかと思い氷原をいくこと15分。
近づいてみると人と思えたのは杭の先に束ねて絡めてある縄で、そこはあの有名な「氷下漁」の仕掛けのところだった。
そしてなんと幸運なことに、その時、ちょうど漁師さんがスノーモビルでやってきて網揚げを始めたのだ。
氷面に開けた長さ1.5m、幅40cm くらいの網揚げ口と、そこから10mほど離れたところにある2 カ所の40cm 四方ほどの網紐口で、それらの口に張った氷を割って紐と網が動くようにする。
それからやおら網を上げるのだが、結構な重労働。
暫しするとチカや小さなカレイが網に見えてくる。
網尻を氷の上に上げ、スノーモビルの後ろに付けたソリの中に魚を流し込む。
それからカレイ(川ガレイ)、変な細長い魚、カジカ(小さい)などをそこから外に放り出す。
結局持ち帰るのはチカとコマイだけのようだ。
氷面に投げ出された魚はたちまち凍り付く。
実はこの魚を狙って大袈裟に言えば「北海道じゅう」のオオワシが今、野付半島に集まっているのだ。
先日の日記でオオワシ軍団を紹介したが、あの連中が、氷下漁の網揚げを見つけて集まってくる(はずな)のである。
ところがあに図らんや、この日は1 頭も寄ってこない。
漁師さん曰く、「あんたがいるから来ないんや」
うん、それもそうだ、真っ赤なジャケットを着たのがいたらどんな遠く、国後島からでもいることが分かる。
集まってくるわけがないなあ。
諦めて、穴釣りの釣り人のところに戻った。
かなり網の場所から離れて時々振り返ったのだが、やはりオオワシは集まってこない。
あんなに餌が氷の上にあるのにねえ。
穴釣りではチカがぼつぼつ釣れていたようだ。