北の国日記2016(第10話)

2月上旬②

 

唐突だが「蕎麦が好き」という人の話を聞くと、「やっぱり10 割蕎麦に限る」という。

日本酒は純米酒に限り、本醸造なんて偽物だ、と言うような話と似てる。

わたしも「うん、うん」とうなずく。

ドライブして、どこかおいしい蕎麦屋はないかと探していて「十割蕎麦」の看板やのぼりがあったら、すぐ入ってしまうと思う。

 

実際私はまさにそうなのだが、それでちょっと変わった経験がある。

このことは未だ自分で良く理解していないのだが、富良野から日高にかけての地域で、「十割蕎麦」というのが私にとってはかなり「奇異」なものなのだ。

 

確か最初の経験は、占冠の道の駅の中で、「十割蕎麦」の幟を立てている店で蕎麦を食べたら、これがなんと、押し出しの丸い麺だった。

「えっつ、10 割手打ち蕎麦じゃないの??」と思いつつも、「道の駅」だから、と思っていた。

 

2 回目は幾寅である(高倉健さんの「ぽっぽ屋」の舞台である)。

ここでも「十割蕎麦」の幟に惹かれて入ったら、えらい凝った時代物のコレクションがめちゃくちゃ飾ってある店で、頂いたのがやはり押し出し丸麺。

特殊製法で超微粒粉、ということで評判なのだそうだが、私の期待した10 割手打ち蕎麦とはかけ離れたもので、これをうまいと言えるのか、考え込んでしまった。

 

幾寅には農家のおばちゃん達が開いた蕎麦屋があり、新聞にも取り上げられて評判になっているがそちらは紛れもなく「普通」の百パーセント手打ちの「切り麺」で、私も食べたがかなりいける。

 

ウーン、この地域で見られる「10 割押し出し蕎麦」はいったいどうゆうことなのか、未だに謎なのだ。

 

 

で、長々と10 割蕎麦にまつわる話をしてきたが、要するに、10 割蕎麦にこだわる意味があるのなら、10 割蕎麦をやってみようか、と言う事になった。

 

 

 

 

私の蕎麦は、これまでずっと2:8 だ。2 割はコムギの強力粉。

今は小清水の「春よ恋」を使っているのが自慢。

春よ恋はパン粉として全国で評判だそうで本土ではなかなか手に入らないらしい。

 

 

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