北の国日記2016(第7話)

1月下旬⑦

 

開陽台からさらに西に走って西別川の源流に行った。

西別川は摩周湖の南にある西別岳の裾野から滾々と湧き出る湧水群が源流だ。

湧水群のところにサケマス孵化場があり、外の水槽の洗浄作業が始まっていた。

屋内で育った稚魚がこれら外の水槽に一杯になる日もそう遠くないのだろう。

目的はこの孵化場の下流の「川を見る」ことなのだが、もちろん、かんじきを履かなければ川岸には近づけない。

今日の運動をここでしようというのだ。

川に降りやすそうな場所の見当をつけて車を停めてと、路側に車を寄せたとき、それは起こった。

 

 

除雪した雪でほとんど平になっている路側にタイヤが乗ったとたん、ズズズッと左側が沈んでしまった。

しまった!のだが、慌てず、4 輪ロックにしてゆっくりとエンジンを吹かして脱出を計ろうとしたのだが、残念ながら登れない。

もがけばもがくほどやはり車は傾いて行く。

うーん、どじった!悪あがきせず、JAF に電話した。

これで人生2 回目のレスキュー要請だ。

1 回目は3 年前の12 月、苫小牧のフェリーに乗るために白糠から本別に抜ける道でスピンして落輪してしまったときだ。

幸い怪我も物損もなかったが、やむなく仙台に帰るのが1 日遅くなった。

あのときは携帯もつながらない場所で、難渋した。

結局車を上げて貰うまでに半日以上かかり、苫小牧のフェリーには間に合わず、標津の家に戻ったのだ。

今回もそれを覚悟したが、幸いにも天気が良く、計根別の自動車会社もレスキュー要請など殆ど無い余裕のある状態であったらしく、小一時間で来てくれた。

 

 

脱出作業は至極簡単。

ロントのフックにワイヤーをかけ引っ張って路上にあげる。

そしてJAF というのは優れもので、会員だと経費は一切かからない

請求額0 円の伝票を貰って終了だ。

それでもこんなことがあったし、昼の時間も過ぎているので今日はもうやめにして中標津に戻る。

 

 

北の国日記2016(第8話)へ